白馬村南端の佐野坂(姫川源流)から流れ出る「姫川」は、新潟県糸魚川市まで標高差約800m、およそ60kmほどの短い河川である。しかし標高2,000mを超える山々が連なる白馬連峰から、一気に流れ落ちる支流を数多く持つので、昔から暴れ川として恐れられていた。
姫川の「ひめ」は奴奈川姫命(ヌナカワひめのみこと)の事である。
万葉集に「ヌナカワの底なる玉、求めて得まし玉かも・・・」と詠まれた歌があり、この「玉」はヒスイのことだと言う。日本で翡翠の硬玉を産する川は姫川水系の「小滝川」とすぐ側の「青海川」にしかない。
古い文献の多くに「ヌナカワ」が高志(こし)の国にあると書かれており、越(こし)の国と解する研究者も多い。また古事記には大国主命(おおくにぬしのみこと)が高志の国まで遣って来て、美しく賢い姫に求婚する行がある。この姫が奴奈川姫命(ヌナカワひめのみこと)で姫川や青海川の近郊には、翡翠を加工した遺跡が発掘されており、奴奈川姫命を祀る神社が数多く点在する。
ちなみに大国主命と奴奈川姫命の間に生まれた建御名方命(たけみなかたのみこと)が、七年に一度の祭り「御柱(おんばしら)」で知られている諏訪大社の御祭神である。
松本清張の小説「万葉翡翠」でも、ヒスイを産する場所「ヌナカワ」が、長野・新潟方面ではないかと新説を立てる所から始まる。いずれにしても世界でも数少ないヒスイの産地である「姫川」のヒスイは、縄文文化と融合しながらアジア各地に散らばって行った。
その道程を想像しながら、古代人が行き来したであろう姫川沿いの、古道「塩の道」を廻って見るのもまたロマンがあって良いかもしれない。
(´・(ェ)・`)~~hutoi
